法人破産と経営者の立場
会社が破産すると、会社が存在しなくなるので、経営者は当然に経営者としての地位を失います。
正確には、会社の取締役は会社との委任契約ですが、破産は委任契約の消滅事由にあたるためです(民法653条2号)。
また、中小企業においては、代表者が会社の負債を連帯保証しているケースも多く、法人が破産した場合には、代表者も併せて破産するケースが多いと言えます。
経営者が自己破産したとしても、破産者は起業したうえで、会社の取締役になることはできます。
従来は、「破産手続開始決定を受け復権していない者」(破産者)は取締役の欠格事由に該当しておりました(旧商法254条ノ2第2号)。
しかし、平成18年施行の会社法により、この事項は除外されており、破産者であっても、再度取締役となることができるようになりました。
ただ、建設業など、破産後復権を得ない者は欠格要件に該当し、許可を取得することができないなどの場合も有るので、各業法については注意が必要です。
また、破産手続開始決定を受け復権していない者でも、警備員や生命保険の募集人など一部の職業をのぞき、通常と同様、職に就くことができます。
なお、これらの資格制限はあくまで復権していない者に対するものなので、破産手続きが終了し、免責許可決定が出て確定し復権した後(破産法255条1項1号)には、このような制限は有りません。
破産手続きを受け復権していない者で資格が制限される職業の例
- 商工会議所会員
- 証券会社の外務員
- 旅行業者
- 宅地建物取引業者
- 中央卸売市場の卸売業者
- 建設業法に定める建設業者
- 生命保険の募集人
- 損害保険代理店
- 風俗営業及びその管理者
- 警備員