業種 | 建築業 |
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負債総額 | 1,600万円 |
債権者数 | 17社 |
ポイント | 未回収の売掛金を回収し、破産費用に充当 |
相談に来た経緯
相談者は、石材工事、外構工事業などを行う建築業の会社の社長でした。
営業当初は売上も順調でしたが現場の職人への人件費や資材の価格高騰により利益が上がりませんでした。
その後、外構工事において職人や技量不足によるクレームが顧客からあり、それを補填するための工事のやり直しやそれに伴う産業廃棄物の処理等多大な費用が必要になりました。
さらに、このクレームがきっかけで大口の取引先からの信用を失い、受注数が激減しました。
また、営業所の従業員が辞職したこともあり経営状況も徐々に悪化し、返済に追われている日々になりました。
代表者と奥様が会社の連帯保証人となっており、生活もできない状況に追い込まれたとのことでご相談にいらっしゃいました。
当事務所の対応
本件では、法人破産だけでなく個人破産も行ったのですが、資金が足りなかったため売掛金の回収を行いました。
また学資保険などの加入もあったのですが、今後の生活費のこともありますので、確保を行いつつ手続きを進めました。
リースや土地などがなく手続きが少なかったためスムーズに申立することができました。
弁護士費用
破産するに際しても弁護士費用が必要となります。
事業を停止した時点で十分な資金があれば良いのですが、そうでない場合には将来の売掛金を回収し、弁護士費用を準備する必要があります。
本件の場合、相談前に完成していた工事があり、その工事の請負代金が未入金であるとのことでした。
そこで、注文者に対して請求をし、その請負代金を弁護士費用等に充当することになりました。
このように、相談時点で会社に現金がない場合でも回収見込みの高い売掛金が存在する場合などでは、破産ができる場合があります。
破産申立
債権調査や資産の調査が終了した段階で、裁判所へ申立を行います。
申立にあたり、代表者及び関係者の協力は必須です。
いかに協力的に資料の作成や準備を行っていただくかによって申立の時期が変わります。
本件は、代表者がしっかり協力してくれたため、受任から約1ヵ月で申立を行いました。
債権者集会・その後
申立から2ヶ月後に債権者集会が開かれました。
債権者集会とは、債権者の意思を手続きの遂行に反映させるために開かれる破産債権者の集会のことです。
具体的には、破産者の財産状況について破産管財人が調査した結果を報告し、破産手続きの進行について債権者の意見を聴取します。
今回の事例では、計3回の集会を経て、申立後約半年で破産手続は終了しました。
最後に
本件の代表者には、学生のお子さんが2名おり、学費が払えず大学をやめてもらわなければならない・・・と不安を持っていらっしゃいました。
そのため、早期に申立てを行い、破産開始決定を出してもらうことを優先しました。
幸いにも次の仕事もすぐに見つかり、お子さんも学校をやめることなく、ご家族の今後の生活を再建することができました。