自由財産とは
自由財産とは破産者の財産のうち破産財団に属せず、破産者が自由に管理処分できる財産のことをいいます。
つまり、破産した場合でも自由に使うことのできる財産のことをいいます。
法人破産には自由財産という概念は無く、自由財産とは個人破産の概念であるため、本稿は代表者の破産の場合を前提としています。
本来的自由財産
自由財産には、
- 99万円以下の現金
- 差し押さえ禁止財産
があります。
①については、「現金」であることに注意が必要です。
破産法上は「預金」はここでいう「現金」には当たらないとしています。
大阪地方裁判所の運用では、普通預金を現金に準じて取り扱ってはいますが、福岡地方裁判所では、そのような取り扱いはしていません。
②の差し押さえ禁止財産は、債務者及びその家族の生活保障、生業の維持、職業活動の保障、宗教的・精神的活動の保護の見地から、民事執行法上に細かく規定されています。
たとえば、生活に欠くことのできない家財道具や、職人にとっての業務に欠くことができない器具などがあります。
これらは、破産手続が開始されても、自由に使うことができ、換価の対象にはなりません。
なお、以上の法律上自由財産として定められているものを本来的自由財産といいます。
福岡地方裁判所の換価基準
これに加え福岡地方裁判所では、法律上自由財産ではないが、換価をしない財産の基準を示しています。
本来的自由財産以外の、福岡地方裁判所が換価等をしない財産は以下のとおりです。
- 残高合計が20万円以下の預貯金
- 20万円以下の生命保険解約返戻金
- 処分見込み額が20万円以下の自動車
- 居住用家屋の敷金返還請求権
- 退職金請求権のうちの8分の7(8分の1相当額が20万円以下である場合には、全額)
このように自由財産の規程は特に顕著ですが、破産については地方ごとに個別のルールがあり、その地方の弁護士に確認すべきです。